雲洞庵の参道
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南魚沼は、霊峰八海山を仰ぎ、豊かな雪解け水と米に恵まれた地域です。こうした雪国の風土の中で、寺社に受け継がれる信仰や禅文化とともに、日本酒、ワイン、味噌、南魚沼産コシヒカリなどの食文化も育まれてきました。
今回のツアーでは、①赤城山 西福寺、②アグリコア越後ワイナリー、③八海山尊神社、④魚沼の里(自由昼食)、⑤雲洞庵、⑥関興寺を訪れ、⑦越後湯沢駅でのお買い物をしてから新宿へと戻ります。
目次
コシヒカリだけではない、南魚沼の5つの魅力
全国的に知られる南魚沼産コシヒカリや日本酒「八海山」に加え、霊峰八海山をはじめとする山岳景観、石川雲蝶の彫刻が残る西福寺、禅寺の雲洞庵なども見どころです。- 南魚沼産コシヒカリ
雪解け水と寒暖差に育まれた、全国的に知られるブランド米です。 - 日本酒と発酵文化
良質な米と水を生かした日本酒「八海山」や、味噌、米糀などが有名です。 - 霊峰八海山と雪国の自然
山や田園風景、豪雪が生み出す四季折々の景観を楽しめます。 - 石川雲蝶の彫刻
西福寺開山堂に残る、「日本のミケランジェロ」と呼ばれる石川雲蝶の作品は必見です。 - 寺院と山岳信仰
雲洞庵や関興寺、八海山尊神社など、雪国に根づいた禅文化や山岳信仰に触れられます。
※Google Mapでは「魚沼の里」が表示されていませんが、「八海山尊神社」のすぐ左下の赤丸がその場所になります。
赤城山 西福寺|石川雲蝶の彫刻が埋め尽くす開山堂
新宿を7時に出発して、嵐山PAで一度休憩して、11時に赤城山 西福寺(せきじょうさん さいふくじ)に着きました。◾️滞在時間:11:00〜11:30(30分)
赤城山 西福寺の歴史と由来
曹洞宗の赤城山 西福寺は、1534年に芳室祖春(ほうしつそしゅん)大和尚によって開かれました。室町時代後期から続く、約500年の歴史を持つ寺院です。西福寺は、もともと天台宗の寺院でした。そのため、ご本尊には鎌倉時代に造られた阿弥陀如来三尊が祀られています。
曹洞宗では一般的に釈迦如来をご本尊としますが、西福寺では改宗後も阿弥陀如来三尊を受け継ぎ、現在まで大切に守り続けています。
赤城山 西福寺[公式サイト]https://saifukuji-k.com/
まず、山門(赤門)をくぐります。
山門(赤門)から少し進むと、右手に山門(白門)があります。
山門(白門)をくぐると、左手に鐘楼が見えます。
鐘楼には、石川雲蝶より15歳年長の小林源太郎が手がけた彫刻「阿吽の龍」が施されています。
正面から見て右手にある本堂前の庭園には、石川雲蝶像があります。開山堂の仁王像を彫っていた当時の姿を再現したものです。
開山堂と雲蝶作『道元禅師猛虎調伏の図』
開山堂とは、その寺を開いた初代住職をまつるお堂です。西福寺の開山堂は、1857年に完成しました。
堂内には、西福寺を開いた芳室祖春大和尚をはじめ、道元禅師や歴代住職がまつられています。
堂内外には、幕末の名匠・石川雲蝶が手がけた彫刻や絵画が数多く残されています。最大の見どころは、天井を覆う大彫刻『道元禅師猛虎調伏の図』です。
繊細な透かし彫りと鮮やかな極彩色が見事で、開山堂は「越後日光」とも呼ばれています。
赤城山 西福寺[公式サイト]より
大彫刻が表しているのは、道元禅師が天童山へ向かう途中、山中で虎に襲われた場面です。禅師が手にしていた拄杖(しゅじょう)を虎に向かって投げ、坐禅に入ると、拄杖はみるみる龍へと姿を変え、禅師を守ったと伝えられています。
彫刻には、龍と虎のほか、鷲、鯉、亀、猿、雀、雲雀、四十雀などの生き物も表されています。細部まで見ると、雲蝶の遊び心が感じられます。
堂内ではナレーションが流れ、彫刻について分かりやすく解説されています。『道元禅師猛虎調伏の図』だけでなく、周囲の装飾彫刻についても説明されますが、滞在時間が限られていたため、すべてをじっくり聞くことはできませんでした。
堂内は撮影禁止のため、写真で紹介できないのが残念です。そこで、道元禅師、龍、虎を中心に、細部を省いてイラストにしました。
西福寺の本堂
開山堂と本堂
棟梁を務めたのは、出雲崎の大工・小黒七左衛門です。新潟県中越地方には、現在も彼が建てた本堂がいくつか残されています。
本堂の襖には、石川雲蝶が描いた絵があります。彫刻だけでなく、絵師としての雲蝶の才能も見ることができます。
また、大廊下の床板には、瓢箪や木の葉などの形をした埋め木が施されています。これも石川雲蝶が手がけたものです。
【ご本尊】
阿弥陀如来三尊
赤城山 西福寺の御朱印
アグリコア越後ワイナリー|豪雪をワイン造りに変える
◾️滞在時間:11:35〜12:10(35分)アグリコア越後ワイナリーでは、雪国ならではのワイン造りを見ることができます。生活の負担にもなる雪が、ここではワインを育てる力として使われています。
魚沼というと、「八海山」の日本酒の印象が強い地域です。
そのため、魚沼でブドウが育てられ、ワインが造られていることを意外に感じる人もいるでしょう。
越後ワイナリーは、1975年の創業以来、ワイン専用ブドウの栽培に取り組んできました。
西洋から伝わったワイン造りに、魚沼の気候と雪国の知恵が組み合わされています。
最大250トンの雪を蓄える地下の雪室
施設内では、1階と地下で、係の方から雪国ならではのワイン造りについて説明を受けます。
越後ワイナリーの大きな特徴が、雪室を利用した貯蔵方法です。
冬に降り積もった雪を建物内に蓄え、その冷気を地下の貯蔵庫や木樽熟成庫へ送ります。
雪室には最大250トンの雪を貯蔵でき、雪室貯蔵庫は年間を通して約5度、木樽熟成庫は約15度に保たれます。
電気による冷房だけに頼るのではなく、雪が持つ自然の冷たさを利用しているのです。
アグリコア越後ワイナリー[公式サイト]https://www.echigowinery.com/
ワイナリーショップ
ワイナリーショップでは、自社醸造のワインをはじめ、ワイン関連グッズや地場産品を販売しています。
ワインケーキ、雪室貯蔵コーヒー、ブドウジュース、八色しいたけの佃煮、オリジナルカレー、アヒージョなどの商品もそろっています。
このほか、外山康雄さんが野の草花を描いた文具や食器、おしゃれなキッチン雑貨、ガーデングッズなども購入できます。
赤・ロゼ・白の試飲コーナー
赤ワイン用
赤ブドウの品種にはメルローとカベルネ、白ブドウの品種にはシャルドネ、セーベル、ナイアガラがあります。このほか、キャンベル・アーリーやアリカントも使われています。
また、フレッシュなブドウジュースも1杯100円で味わえます。
白・ロゼ・赤ワイン用
クレープショップ クレープMERLOT
道路を挟んだ向かい側には、レストラン「葡萄の花」に併設されたスイーツ店があります。
もちもちとした生地のクレープを中心に、マンゴーやバナナ、キャラメル、チョコレートソースを使ったデザートやサラダメニューを楽しめます。
ワイナリー見学や八色の森公園散策の休憩に立ち寄るのもおすすめです。
八海山尊神社|山を神として仰いだ人々
◾️滞在時間:12:20〜12:50(30分)ここで質問です。
都道府県で一番神社が多い県はどこでしょう?
- 新潟県:4,670社以上
- 兵庫県:3,850社以上
- 福岡県:3,400社以上(全国3位)
八海山尊神社の歴史と由来
八海山信仰の始まりは、中臣鎌足が神のお告げを受け、現在の六合目付近に祠を建てたことと伝えられています。その後、役行者や弘法大師が八海山で修行したという伝承も生まれ、古くから修験道の霊場として信仰を集めてきました。
江戸時代の1794年には、木曽御嶽山を開いた普寛行者が八海山を訪れ、地元の泰賢(たいけん)行者とともに登拝道を開きます。
さらに1803年、泰賢行者が大崎口登山道を開いたことで、現在の八海山尊神社につながる大崎口里宮が広く知られるようになりました。
八海山尊神社[公式サイト]https://hakkaisan-sonjinja.jp/
88段の大石段 龍鳴の階(きざはし)
祭場の広場から高台の神社に向かって柏手を打つと、その音が目の前の大石段に反響し、周囲から一斉に鳴り響くように聞こえるそうです。
その響きは、神様が喜んでいるしるしだと語り継がれ、いつしか「龍鳴」と呼ばれるようになりました。
インターネットで体験談を調べると、次のような音に聞こえたということです。
- 「キィン」
- 「キュンキュン」
- 高く澄んだ反響音
- 普通の柏手とは違う、余韻の残る音
- 龍が鳴いているような不思議な響き(龍の声って?)
大石段にある踊り場の龍鳴の石像。平成28年(2016)、崇敬者の願いにより完成しました。
八海山尊神社の大鳥居
1981年に建立された大鳥居は、岐阜県恵那産の白御影石で造られ、高さは8.5メートルあります。
手水舎:金剛霊泉の水
霊峰八海山の二合目半に湧き出る水は、四季を通じて清冷で、古くから金剛霊泉として尊ばれてきました。昭和52年(1977)、この神社に分水されました。
八海山尊神社の社殿
現在の社殿は昭和54年(1979)に造営されたもので、旧里宮から御神体が遷されました。高台に建つ社殿は、霊峰八海山を信仰する神社らしい荘厳な雰囲気があります。
【ご祭神】・国狭槌尊(クニノサヅチノミコト)
『日本書紀』の天地開闢に登場する、日本の国土や大地に関わる神様です。
天地ができ始めたころに現れた神の一柱で、大地を形づくり、国土を守る神として信仰されています。
・天津彦火瓊々杵尊(アマツヒコホノニニギノミコト)
・木花咲耶姫尊(コノハナサクヤヒメノミコト)
・大山祇尊(オオヤマヅミノミコト)
・日本武尊(ヤマトタケルノミコト)
五穀豊穣・家内安全・安産・厄除け・開運などのご利益があるとされています。
八海山尊神社の里宮へ
社殿に向かって右手奥へ3〜5分ほど歩くと、里宮があります。
里宮へ向かう道には、神域へ近づいていくような静けさと、澄んだ空気が漂っています。歩くにつれて静けさが深まり、八海山信仰の霊場らしい厳かな雰囲気を感じます。
登山口にある里宮は、深い森に囲まれた静かな神域です。
現在も各地から修行者が訪れ、身を清める水垢離(みずごり)や護摩祈祷、五穀断ちなどの修行が行われています。
普寛行者の霊窟
享和年間(1801年から1804年のころ)、泰賢行者がこの窟に三年間、五穀断ちと塩断ちし、八海山大崎口開闢の霊夢を得て切り開かれたといいます。
八海山尊神社の御朱印
魚沼の里|雪国の食と発酵文化を味わう
◾️滞在時間:13:00〜14:50(110分)魚沼の里では、南魚沼産の米や日本酒、発酵食品を使った料理や商品を楽しめます。広い敷地を歩きながら、昼食や買い物を通して雪国の食文化に触れていきます。
なお、駐車場から魚沼の里の最も遠い場所までは、徒歩で10〜15分ほどかかります。駐車場へ戻る時間の目安にしてください。
魚沼の里[公式サイト]https://www.uonuma-no-sato.jp/
にぎりめし てっぺんで魚沼産コシヒカリのおにぎり
今日の昼食は、魚沼産コシヒカリを使ったおにぎりと決めていました。駐車場に着くと、まず「にぎりめし てっぺん」へ向かいました。
店では、長年培った経験と知識を生かし、できる限り高い品質を目指した数量限定の「てっぺんにぎり」を販売しています。
贈り物や手土産に適したギフトボックスもあり、イートインでは、おにぎりと一緒にけんちん汁を味わえます。
まずはお米そのものの味を楽しむため、塩むすびからいただきました。続いて、たこ飯、大葉みそと、味の濃いものへ順番に味わいました。
イートインコーナーでは、けんちん汁も一緒に楽しめます。合計は1,380円(税込)でした。
そば屋 長森
白壁と黒い木組みが印象的な、古民家風の建物です。大きな切妻屋根が、背後の山々や芝生によくなじんでいます。
席の確保は、店外に設置されたタブレットから行います。雪国の里山らしい、落ち着いた佇まいのそば店です。
さとや お菓子喫茶
「さとや」では、こだわりの素材に日本酒や酒粕などを加えた、和洋さまざまなお菓子を販売しています。店内では、バウムクーヘンを作る様子を間近で見られます。
2階の喫茶スペースや屋外席では、魚沼の自然を眺めながら、お菓子や飲み物をゆっくり楽しめます。
つつみや八蔵と幻の「八海山」
「つつみや八蔵」は、「贈る」をテーマにしたギフトショップです。日本に古くから伝わる折形や色鮮やかなラッピングを、贈る相手や場面に合わせて選べます。
店内には、和紙のぽち袋を作れるワークショップコーナーもあり、包みに関する雑貨も販売しています。
「包」という字の由来
「包」という字は、母親のお腹の中で胎児が包まれている姿を表したものとされています。
赤ちゃんが胎内で大切に守られ、この世に送り出される姿は、「大切なものを包んで贈る」という行為にも通じます。「つつみや八蔵」のテーマを象徴しています。
このほかにも、時間があればじっくり見てみたい展示や解説が数多くあります。
・水引とは
・酒と折形
・片輪結びと両輪結び
・右前、左前で吉凶を表す etc.
本当に大切な人に贈りたい!幻の八海山2選
① 純米大吟醸「八海山 浩和蔵仕込」
sakemustセット 720ml(4合)17,056円(税込):写真上・左
② 純米大吟醸「金剛心 浩和蔵仕込」
800ml 22,000円(税込):写真上・右
浩和蔵仕込とは
酒蔵「八海醸造」が理想とする最高品質を追求するため、専用の製造蔵「浩和蔵」で少数精鋭の蔵人により極めて少量だけ仕込まれます。
菓子工房ブランドゥブラン
緑の三角屋根が目印の菓子工房です。1階では焼き菓子を作っており、ガラス越しにバウムクーヘン作りの様子を見学できます。2階には、広いクッキングスペースがあります。
建物の前には色とりどりの草花が咲き、明るい雰囲気でした。
八海山みんなの社員食堂
八海醸造が大切にしているのが、「同じ釜の飯を食べる」という考え方です。製造、営業、事務など、さまざまな部署の社員が同じ食堂を利用しています。
昼食の時間帯には一般にも開放され、社員と同じ食堂で食事を楽しめます。
八海山の試飲もできる八海山雪室
八海山雪室には、「雪室千年こうじや」「キッチン雑貨 okatte」「ユキムロカフェ」のほか、試飲カウンターや焼酎貯蔵庫があります。
雪国の暮らしや食文化に触れながら、魚沼ならではの味や商品を楽しめる施設です。

施設随一の撮影スポット
金城山 雲洞庵「土踏んだか……」
◾️滞在時間:15:10〜15:55(45分)
前方に見えるのが拝観受付所です。バスツアーでは、添乗員さんが拝観料をまとめて支払ってくれるため、受付の手間がなくスムーズです。
拝観受付所の左手へ進むと、すぐに赤門があります(写真上・左の建物)。赤門をくぐって右へ曲がると、杉並木の参道に入ります。
雲洞庵の土踏んだか……
赤門から本堂へ向かう参道の石畳の下には、一つの石に一字ずつ法華経を書いた石が埋められていると伝えられています。
この石畳を踏んで参拝すると、罪業消滅や万福多幸のご利益を得られると信仰されてきました。
「雲洞庵の土踏んだか」という言葉には、参道を歩くこと自体を大切な参拝と考えてきた人々の思いが込められています。
金城山 雲洞庵の歴史と由来
雲洞庵の始まりは、約1300年前の奈良時代と伝えられています。藤原房前の母がこの地に庵を結び、金城山から湧く霊泉で病人を救ったことが始まりです。
母の死後、房前が薬師如来を携えて訪れ、菩提を弔うために雲洞庵を建立しました。
その後は藤原家の尼僧院として栄え、室町時代になると関東管領・上杉憲実によって曹洞宗の寺院として開かれました。
以後、雲洞庵は北陸を代表する禅の修行道場として栄えてきました。
上杉景勝と直江兼続が学んだ雲洞庵
雲洞庵は、上杉景勝と直江兼続が幼少期に学んだ寺としても知られています。寺伝では、十三世の通天存達和尚が、10歳の喜平次(後の上杉景勝)と、5歳の与六(後の直江兼続)を引き取り、雲洞庵で教育したとされています。
参道左手にある観音立像です。
大香炉
紫色の布がかけられていますが、参拝者が線香を供え、その香りと煙を仏前に捧げるためのものです。
大香炉の右にある釈迦如来坐像(写真上)と岩窟を思わせる石龕(せきがん)に刻まれた六臂の如意輪観音像(写真下)です。
雲洞庵の本堂
新潟県出雲崎の小黒甚内を棟梁とする大工群の手によるもので、間口14間、奥行10間半の本堂は、近世寺院建築の最も優れたものとされ、新潟県の文化財にも指定されています。
長生きの水場
弁道(べんどう)とは、仏道を学び、日々実践することです。雲洞庵では、主に次の3つが修行の心得とされています。
- 作務:掃除や草取りなどの日常の仕事
- 行持:坐禅・読経・礼拝などを続けること
- 学問:仏教を学び、その教えを理解すること
雲洞庵の内陣
【ご本尊】
釈迦牟尼仏
心の中で「南無釈迦牟尼仏」と3回唱え、まず感謝を伝えてから、願いごとを祈ります。
内陣のある部屋の襖の上部には欄間(らんま)があり、精巧な彫刻が施されています。
静かな本堂内には厳かな空気が漂い、自然と心が落ち着きます。
石鞏慧蔵(せききょう えぞう)禅師と鳥窠道林(ちょうか どうりん)禅師
前者は、唐代の禅僧で、もとは猟師でしたが、馬祖道一との問答を機に弓矢を捨てて出家したと伝えられています。
後者は、木の上で坐禅したことから「鳥の巣」の意味を持つ名で呼ばれ、詩人・白居易との禅問答で知られています。
虚空蔵菩薩
大空のように広く、尽きることのない知恵と福徳を蓄え、人々に授けてくださる仏様です。
本堂内には、虚空蔵菩薩(写真上)、客引観音と円空仏(写真下)など、多くの仏像が安置されています。時間があれば、一体ずつじっくり拝観してみてください。
客引観音
かつて石材店の店頭に飾られ、店を大いに繁盛させたと伝えられる観音像です。その後、雲洞庵に安置されました。
円空仏
江戸時代の僧・円空が、鉈や鑿(のみ)を使い、木から直接彫り出した仏像です。素朴で力強い姿が特徴です。
最後にもう一度、「雲洞庵の土踏んだか」という言葉を思い浮かべながら、参道を歩いて赤門へ戻ります。
金城山 雲洞庵の御朱印
関興寺の味噌なめたか!
◾️滞在時間:16:15〜17:05(50分)関興寺の歴史と由来
関興寺は、応永17年(1410)に上杉憲顕の子・覚翁祖伝和尚が開創した、臨済宗円覚寺派の寺院です。関東管領上杉家の菩提寺として栄えましたが、兵火や火災でたびたび焼失しました。寛文年間に現在の南魚沼市上野へ再興され、徳川幕府から十万石格の別格本山と認められました。
最盛期には300人を超える修行僧が集い、甲信越を代表する禅道場として名を広めました。
上杉景勝公・憲顕公・謙信公
関興寺の総門
総門は「黒門」とも呼ばれ、約300年前に建てられた武家屋敷の門です。かつては、安房勝山藩主・酒井家に仕えた白川陣屋代官・下田家の屋敷門で、平成21年(2009)に関興寺へ移築されました。左側には門番の詰所があり、大きな木材や欅の一枚板で造られた門扉から、下田家の格式と武家屋敷らしい風格が感じられます。
関興寺の味噌なめたか
天正6年(1578)、御館の乱で関興寺が焼き討ちに遭った際、住職の雨天是鑑和尚は、上杉氏から寄進された大般若経600巻を味噌桶の中に埋め、戦火から守りました。この故事から、関興寺の味噌には経典の功徳が宿り、口にすると福徳を授かると信じられるようになりました。
やがて、関興寺に参拝した人へ「ありがたい味噌をいただいたか」と尋ねる意味で、「関興寺の味噌なめたか」という言葉が広まり、現在まで語り継がれています。
越後ワイナリーや魚沼の里で触れてきた発酵の知恵は、関興寺では大切な経典を守る力となりました。味噌は雪国の暮らしを支えるだけでなく、寺の歴史を守った存在でもあります。
関興寺の三門
「円光」の額がある三門
関興寺の三門は、二本の主柱の前後に四本の控柱を備えた「四脚門」と呼ばれる形式です。寺院の正面に建てられることが多く、格式のある門とされています。
写真下は、本堂側から見た三門です。正面には風鈴が飾られていたため、門の造りが分かりやすい裏側からも撮影しました。
三門の天井画
三門から階段を上がって行くにつれて、本堂が見えてきます。
関興寺の本堂
本堂は江戸時代の安永年間(1772〜1781)に建てられた、約250年前の建築です。
間口13間、奥行8間、208畳の広さを持つ大規模な堂内は、廊下や敷居、長押まで漆塗りで仕上げられています。
堂内の鏡のように光る「鏡廊下」や、将棋の駒・扇・瓢箪などをかたどった欅の埋め木細工も見どころで、別格十万石の格式と職人技が感じられます。
枯山水の石庭(寂庭)
本堂に入ると、最初にご住職のお話がありました。関興寺の歴史や由来、「味噌なめたか」の故事などについて、分かりやすく説明してくださいました。
なかでも印象に残ったのは、ご住職自身が心筋梗塞を患った体験です。
「2日間も苦しんだら、まず病院へ行ってください」と話され、この日は退院して間もないとのことでした。まだ壮年に見えるご住職だっただけに、心筋梗塞を患われたと聞いて驚きました。
関興寺の内陣
【ご本尊】釈迦牟尼仏
正面中央に、ご本尊の釈迦牟尼仏が安置されています。華やかな幔幕や金色の柱に囲まれた内陣は厳かで、自然と背筋が伸びるようでした。
ご本尊が安置されている内陣の欄間には、精巧な透かし彫りが施されています。写真は、その彫刻群の一部です。
本堂内の仏像を拝観
ご本尊を参拝した後は、本堂内に安置されている仏像を見ていきましょう。ここでは、その中から一部をご紹介します。
大日如来坐像(写真上)と千手観音像と大檀越位牌(写真下)。
守り本尊仏
(右から)文殊菩薩(うさぎ年)/虚空蔵菩薩(うし・とら年)/阿弥陀如来(いぬ・いのしし年)/勢至菩薩(うま年)/普賢菩薩(たつ・へび年)
木魚のような仏具は、初めて見ました。「※優しく叩いてください」とあります。煩悩まで打ち払おうと、つい力が入ってしまう人もいるのでしょうか。
多くの仏像を拝観した後は、本堂内から棲龍池へ流れ落ちる「昇龍の滝」を眺め、ほっとひと息つきました。この滝は、鯉が滝を登ると龍になるという故事にちなみ、造られたそうです。
本堂内には、たくさんのカエルが並ぶ「しあわせの山」がありました。その題名が、とても心に残ります。幸せとは一人だけのものではなく、みんなで分かち合うものなのだと感じました。
経蔵と内部の輪蔵
経蔵の中には、経典を納める回転式の書架「輪蔵」があります。
中央の軸を中心に六角形の書架が回る仕組みで、内部には仏教経典を集めた「黄檗版一切経」が収められています。
関興寺の大悲閣(観音堂)
本堂に向かって左手にある大悲閣は、観音菩薩をまつるお堂です。「大悲」とは、人々の苦しみに寄り添い、救おうとする観音菩薩の深い慈悲を表しています。
滞在時間も終わりに近づいたため、バスへ戻ります。総門近くの参道脇には六体の石仏が並び、帰る私たちを静かに見送ってくれているようでした。
関興寺の御朱印
越後湯沢駅|新潟のお土産を買う
◾️滞在時間:17:20〜18:15(55分)
旅の最後は、越後湯沢駅に立ち寄ります。駅構内には「CoCoLo湯沢・がんぎどおり」や「ぽんしゅ館」があり、日本酒、南魚沼産コシヒカリ、米菓、笹団子、味噌など、新潟のお土産がそろっています。
買いたいものをあらかじめ決めておくと、55分でも落ち着いて買い物ができます。
その後は高坂サービスエリアで休憩し、21時過ぎに新宿へ到着しました。朝7時出発、約14時間の日帰りバスツアーでした。
まとめ|南魚沼の信仰と雪国の味を一日で巡る旅
今回のバスツアーでは、石川雲蝶の彫刻が残る西福寺、八海山信仰を伝える八海山尊神社、禅の歴史を受け継ぐ雲洞庵と関興寺を巡りました。越後ワイナリーや魚沼の里では、雪を利用したワイン造りや、南魚沼産コシヒカリ、日本酒、麹、味噌などにも触れました。寺社に受け継がれる信仰と地域の食文化が、雪、水、米に支えられながら、この土地で育まれてきたことを実感できる旅でした。
朝7時に新宿を出発し、帰着は21時過ぎ。約14時間の長時間の日帰りバスツアーでしたが、寺社参拝、芸術鑑賞、昼食、試飲、買い物まで楽しめる、内容の濃い一日となりました。
各所の滞在時間は限られています。とくに魚沼の里と越後湯沢駅では、食事や買い物の目的をあらかじめ決めておくと、効率よく回れます。南魚沼の歴史や信仰に触れながら、雪国ならではの味も楽しみたい人におすすめのバスツアーです。
こちらのバスツアーに参加するにはコチラ
新潟県南魚沼パワースポット・魚沼の里バスツアー
※当記事の内容は個人の感想を含み、諸説ある話の1つを基に作成されているため客観的な事実を表すものではありません。また、特定の説を支持したり、異なる説を否定したりするものではないことをご了承ください。なお、内容についてのご質問はお受けいたしかねます。








この記事を書いた人
リョウさん
2007年頃から、年に2〜3回趣味で日帰りバスツアーに参加していました。
当初ははとバスをメインに、読売旅行、クラブツーリズムなどを利用していました。
2017年頃から神社に興味を持つようになり、四季の旅のツアーに参加するようになりました。
基本、月一同行取材に参加しています。
お気づきの方は、お気軽にお声をかけてください。
どうぞ、よろしくお願いいたします。